【読了】情報分析力 / 小林悠

どんな本

朝起きて読むのは、経済誌でなく、ロシア軍の機関誌「赤い星」。ロシア軍事の専門家、小林悠さんが、ロシア軍事の分析手法を書いた本です。
ロシア軍事の分析手法でありながら、その手法は、どの業界でも利用できる普遍的な分析手法を紹介しています。この本の内容を実践することで、自分だけの「情報処理装置」で、「その情報が何を意味するのか」を考えることができます。

メモ

「可能行動」について：軍事用語で戦争当事者の能力をかけ合わせたものを指す。「意図」のような曖昧なものは一旦置き、外形的に把握しやすい「能力」に注目することで、起こりうる事態の上限を把握することに注目している。

役に立つ形に変換すること。情報（インフォメーション）と情報資料（インテリジェンス）を区別し、集めた食材（情報）を調理（処理）して、お客さん（情報需要者）が食べられる料理（情報資料）に仕立てる必要があること。

その調理（処理）工程においては、文章をアウトプットしてみると、意外とわかってなかったことがでてくる。

分析者に必要な３種類の情報、①コア情報（生情報） ②バックグラウンド情報（背景情報） ③足で稼ぐ情報（体験的情報）

頭の中に分析対象のエミュレーターを作る。

情報収集には目的と解像度を合わせる必要がある。

公開情報インテリジェンス（OSINT)の活用。公開情報から、「ある程度の事実」を深読みする、情報の傾向の変化を差分する、対象が「みんなに知らせたい情報」から掴む、人情として隠しにくい情報から読む、コンプライアンス上、出さざるを得ない情報をみる。

バックグランド情報の取り方ポイントは、分析対象について書かれた母国語の書籍を読む、情報分析対象を「広い構図（政治・経済・歴史）」で捉える、分析対象が今の姿にどのようにたどり着いたかを知る

生情報は専門家に教えてもらえれば、教えてもらう（トレーニングしてもらう）が早いが、そうでない場合は、専門家が書いた専門的なお論文を読むことでデータの解釈方法やツールの使い方を学べる

コア情報の処理方法のコツ、文献が参照している資料を芋づる式に読む、専門家の論文からデータの解釈の知見を得る、体系化する（タグつけたり）、人に聞く（分析方法や詳しい分野の人に）、経験値を貯める（足で稼ぐ、定点観測）

データに喋らせる、とりあえず現時点で手元にある、あるいはすぐに集められる情報を図表やグラフにするとよい。自分で作成した図表やグラフを実況解説すると、スターター的な役割をしてくれる。

最初にたてた仮説は固執するべきではない。筋がとおらないこともでてくるのでそのときはやり直す。

アウトプットが足りないときは、実はインプットが全然たリてないことが圧倒的に多い。人に話してみるのも良い。

読後に活用できそうなヒント

可能行動について、相手企業、あるいは競合企業の意図をはかりにいくのではなく、まずは起こり得る事態の上限を把握する。

頭の中で提案先の担当者を模倣し、どのように考えるかを考えてみる。

相手の目的はなにか、解像度はどれくらいかを考えて情報を収集する。

情報資料づくりに困ったらとりあえず、現時点で手元にある、あるいはすぐに集められる情報を図表やグラフにする

情報資料であるからこそ求められるのが「忙しい人がさっとみてわかるようにする」資料の冒頭には要約、重要キーワードは下線。文章の中にはみ出しをつける。グラフつける。言葉わかりやすく。

印象に残った言葉

・一般論のあとに、具体的な各論を語れるかどうかが情報分析の優劣を分ける

・情報は何らかの形で役に立つ何かに変換する必要がある

・文章を書くことで、収集すべき情報がわかったり、情報の体系化が進んだりする（情報の収集・分析・資料化はスパイラル状に進んでいく）

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